はじめに

かつて、ワンちゃん猫ちゃんが亡くなったとき、ご家庭のお庭に埋葬することはごく自然な習わしでした。火葬が一般的になる以前は、身近な土に還すことが当たり前の供養の形だったのです。昔話「花咲かじいさん」にも、その文化的な背景が描かれています。物語の中で、亡くなった犬をおじいさんが庭に埋め、そのそばに木を植える場面があり、その木が成長して臼として人の暮らしに役立つものとなります。物語自体は因果応報を伝える筋立てですが、ここには「亡き命を土に還すことで新しい命が芽生え、人の営みへとつながっていく」という自然観が素朴に表現されているといえるでしょう。
しかし現代では、住環境の変化によって事情は大きく異なります。マンションやアパートで暮らすご家族様が増えただけでなく、戸建て住宅でも昔のように広い庭を持つことは難しくなりました。敷地の制約や近隣への配慮から、庭に埋めるという行為はためらわれることが多く、衛生面や野生動物による掘り返しの心配もあります。その結果、人と同じように火葬を選ばれるご家族様が主流となってきています。
プランター葬とは

庭に埋めることが難しい住環境が増えた現代で、そうした事情に応える形として生まれたのが「プランター葬」です。庭を持たないご家庭でも、ベランダやバルコニーといった限られたスペースで行える新しい供養の形です。ハムスターや小鳥といった本当に小さなペットちゃんのお体を、土を入れたプランターに納め、微生物の働きによって自然に還していく方法です。
仕組みはコンポストに近く、土中の細菌や微生物が有機物を分解し、少しずつ土へと戻していきます。小さなお体は数カ月程度で分解されるといわれていますが、被毛はさらに時間がかかり、1年ほど残ることがあります。骨は分解されにくいため、数年にわたり形を保ちます。
注意点として、埋葬直後に植物を植えるのは適切ではありません。分解の過程で発生するガスや熱が根を傷めることがあるためです。最低でもお体や被毛が分解されたことを確認してから植物を植えることが望ましいでしょう。この「待つ時間」を経て花や緑を育てることが、命の循環を実感する供養となるのです。
プランター葬を行う際の課題
プランター葬は現代の住環境に合った方法ですが、いくつかの課題もあります。分解の途中で臭いが発生する可能性があるため、しっかりと土をかぶせ、風通しや日当たりを考えた設置が必要です。さらに、猫やカラスに掘り返されてしまう場合もあるため、プランターの上にカバーをしてあげることで防ぐことができます。
また、モルモットやフェレットのように大きめの小動物になると、プランターのサイズが十分に確保できず適していません。プランター葬はあくまでハムスターや小鳥といった本当に小さなペットちゃんに限られる方法と考えたほうがよいでしょう。
火葬と土葬との比較
火葬は今もっとも一般的に選ばれている方法です。現代の住環境にも合っており、多くのご家族様に選ばれています。ご遺骨を残すことでその後の供養にもつなげられます。ただし、小動物の場合は火葬炉の火力が強すぎるとご遺骨が飛散してしまうこともあり、業者によっては対応が難しいことがあります。ご参考までに、ペットメモリアル ドマーニの火葬炉は小動物にも対応できるよう火力が絶妙に設計されており、ハムスターや小鳥でもきちんとご遺骨を残せるようになっています。
一方、ワンちゃん猫ちゃんのように大きなお体の場合は、条件が整えば土葬も可能です。ただし、その際には1メートル以上の深さを確保する必要があり、地域によっては衛生面や水源への影響が懸念されます。実際に山間部では、深く埋めてもイノシシが掘り返してしまうことがあると聞きます。そのため、土葬を選ぶ際は住環境や安全面を慎重に検討することが欠かせません。
ご遺骨を植物に還すという考え方

火葬を選んだ場合でも、ご遺骨をご家庭の庭やプランターにまき、植物を育てるという方法があります。ご遺骨の主成分はリン酸カルシウムで、市販の肥料にも含まれる成分です。ただし炭酸カルシウムも含まれており、土壌を弱アルカリ性に傾ける可能性があるため、植物を選ぶ際には注意が必要です。ブルーベリーやアジサイのように酸性を好む植物には向きませんが、オリーブやラベンダーなど石灰質の土壌を好む植物には適しています。
この考え方は、近年人間のご供養として広まっている「樹木葬」とも通じるものです。樹木や花とともに眠る姿は自然で穏やかであり、ご家族様の心を慰めるものとなるでしょう。
まとめ
ペットちゃんの供養には、火葬、土葬、そして新しく生まれたプランター葬という選択肢があります。火葬は現代の住環境にも合っており、多くのご家族様に選ばれている方法です。土葬は条件が整えば可能ですが、その際には環境や安全への配慮が欠かせません。そしてプランター葬は、庭のないご家庭でも命の循環を感じられる現代的な方法といえます。
どの方法を選ばれるにしても大切なのは、心を込めてお別れをすることです。最後に「ありがとう」という言葉をかけてあげてください。ご供養はペットちゃんを想って行うものですが、そのときにかけた言葉は、やがて自分自身に返ってきます。
深く悲しんでいる方にとっては、つい「ごめんね」という後悔の言葉になりがちです。けれども「ありがとう」という肯定の言葉を贈ることで、その子が与えてくれた時間や存在を前向きに受け止められるようになります。お別れの言葉として「ありがとう」を伝えることは、ペットちゃんへの感謝であると同時に、ご家族様自身の心を癒し、これからを生きる力へとつながっていきます。



